生産性を高めよう! 『日本人の勝算』デービッド・アトキンソン
「7日間ブックカバーチャレンジ 」の4日目はKindle unlimitedで今月アップされたデービッド・アトキンソンさんの『日本人の勝算』。
アトキンソンさんの本はたいてい読んでいるので、この本も早く読みたかった。
今回図書館で依頼するより先にKindle unlimited対象になったのでKindleで詠ませていただきました。
アトキンソンさんの本で印象に残っているのが「日本が高度経済成長を遂げることが出来たのは、日本人が勤勉でしっかりとした物づくりをするからではなく、ただ単に人口が多かったから」という内容。
それを読んだ時はかなり衝撃的でした。
でもきちんと資料を出して書かれている内容なので、自分としては素直に受け入れられたのですが、アトキンソンのその次の本ではその内容に反対する人が結構いたように書かれていました。
多分そうやってきちんとした資料が出ているにも関わらず、それを素直に受け入れず自分の今までの経験や考えだけでやっている人が日本の生産性を下げているのでしょうね。
さて、この本ではまず日本が危機的な状況に置かれていることをまず問題定義として挙げられています。
その危機的な状況というのが、
・人口の減少と高齢化
・国の借金の増加
の2点。
高齢化が進めば進むほど、介護などの需要が高まり、人を多く要する生産性の低い仕事が増え、ひいては格差が広がることも考えられます。このことは、生産性向上に悪影響を与え、所得の上昇をさまたげます。これもまた、デフレ要因の 1 つとなっていきます。
日本ではこれから人口が減るので、学校、美容室、食料品、車、住宅などなど、人間の数に依存するモノとサービスの需要が減ります。
で、それを解消するために必要なことが
「生産性を上げること」
だと言います。
日本で GDP を減らすのは自殺行為です。だから結局、何をどう検討しても、人口減少・高齢化による総需要減少を、賃上げによって相殺するしかないのです。それには生産性を向上させ、付加価値を高めていくしかありません。論理的に分析すればするほど、結論はここに辿り着きます。
そしてその生産性を上げる方法も提案してくれています
1 つ目は、生産性向上にコミットして高生産性・高所得資本主義を実施すること。
2 つ目は、それを可能にするために企業の規模拡大を促す、統合促進政策を実施すること。
そして、 3 つ目は、単に制度を整備するだけではすべての民間企業が国の狙いどおりに動くはずがないので、津々浦々の企業に動いてもらうため、最低賃金の継続的な引き上げを行うこと。
具体的には
・インバウンドを含めた輸出産業の拡大
・小企業を統合させ、設備投資の規模を上げ生産性を高める
・女性の働き方の向上
・最低賃金を上げる
そして
・経営者の教育
個人的には最後の「経営者の教育」が一番大事だろうと一番感じました。
一度学校を卒業し、社会に出た人が人口の 4 分の 3 を占める時代が訪れます。このパラダイムシフトに対応するためには、教育の基本的な対象は大人だという、新たなパラダイムを受け入れる必要があります。それができなければ、日本は永遠に発展しづらい国になるでしょう。
最後にいいなぁと思った情報がこれ。
世界的なコンサルティング企業であるマッキンゼーの分析によると、今までの 50 年間、世界経済の成長率は 3・6% でしたが、これからの 50 年間では、経済成長率が 2・1% まで減少すると予想しています
先日お金の積立投資のことについて書きました。ただ今までは結果として「積立投資」で実績が出ていたけど本当にこれからも実績が出るのだろうかと考えていましたが、これからの世界経済は50年間で「2.1%」は成長するそうです。
今までの実績から見ると落ちるかもしれないけど、それでもきちんと世界の経済は成長する。ということはこれからの積立投資も見込みはあるということ。
またこの本の中で各国の人口推移表がありましたが、それによるとアメリカはこれからも人口は増加傾向にあるようです。
つまり経済の成長は人口の増加が鍵なので、これからも人口が増えていくアメリカの経済はまだまだ伸びていくということ。
だからこれからもアメリカを中心とした投資は「あり」ですね😁