アラフィフからのゼロ・リセット

遂に人生折り返しの50歳になりました。これまで以上に楽しい人生を過ごしていきたいなと願いつつ、自分の趣味のことや、思ったこと、経験したことを書いています。

【読書】『ワークマンはなぜ2倍売れたのか』酒井大輔

 自分も仕事の作業服はワークマンで購入しています😁

そんなワークマンがなぜ快進撃を遂げているのかに追った本で、とても面白かったです。

 

普通、アパレル業界、しかも作業服のお店なんてなると、アナログちっくで昔ながらの商売をしている感が強いのですが、ワークマンの快進撃にはそのアナログ的昔ながらの商売からの脱却があったことがよく判りました。

つまりこれってアパレル業界に限らず、どの業界にでも当てはまることだなと。

今まで当たり前としてやってきた商売からの脱却。

これがとても重要。

 

しかし言葉で言うのは簡単ですが、なかなかそれを変えていくのは難しいです。

ではワークマンがなぜ昔ながらの商売から脱却できたのか?

それは2019年6月から専務に就任された土屋哲雄氏の存在があります。

 

土屋氏は元三井物産にいた商社マン。

商社マン時代でも色々と事業を起こしたりしてかなりの人物だったようですが、その土屋氏が伯父からの依頼でワークマンに当時は常勤顧問として入社されたそうです。

そして2014年にその土屋氏が中心となって「中期業態変革ビジョン」と言う名の3箇条を社内外に宣言したことからワークマンの快進撃が始まります。

その「中期業態変革ビジョン」の中身は以下

 

1)社員一人当たりの時価総額を上場小売企業でナンバーワンに

2)新業態の開発

  ①「客層拡大」で新業態へ向かう

  ②「データ経営」で新業態を運営する準備をする

3)5年で社員年収を100万円ベースアップ 

 

では実際にワークマン快進撃に関して、自分がこれだと思った点は以下の6つになります

  1. データ経営
  2. 売価を決めてからものづくりを行う
  3. 客の声に耳を傾ける
  4. SNSなども使った広報戦略
  5. 店舗作りに関してはPDCを行う
  6. フランチャイズ店への優遇

 

1に関しては、ワークマンではエクセルのマクロを組み経営管理を行っているそうで、役職者になるのはエクセルに熟知していないとなれないと言う徹底ぶり。

残念ながら、実際どのようなマクロを組んで管理しているのかまでは書かれていませんでしたが、システムを導入するのではなく、誰もが使うエクセルを使って管理していると言うのがとても印象的。

でもそれには理由があり、システムやAIを使うと入力した数値に対して答えしか返ってこず、その答えを出すまでの過程が全くわからない。

その点エクセルで自分たちで作ると、当然答えを出すための過程を理解しているので、なぜそうなるのかが理解できるし、それを元に修正もできると言うのが理由だそうです。

 

2、3に関しては業績が伸びている会社には共通している内容です。

ただワークマンのすごいところはSNSでワークマンの商品についてアップしている人の中から、特にワークマンのことが好きな人をインフルエンサーとして商品開発にも携わっていただいていると言うこと。

これは以前、テレビ東京系のビジネス番組ではやっていて、すごいなぁと思いました。

ちなみにその商品開発に携わっている方は無報酬らしく、その方が良いことも悪いことも素直に言えるのでいいのだとか。

なおワークマンではその代わりその方のサイトやSNSをホームページ上で紹介したりしているので、インフルエンサーの方としては「いいね」や「再生回数」が増え、それでアドセンスの報酬が増えているとか・・・。

 

4に関しては、今ではどのお店でもやっていることですが、ワークマンの場合は上記に書いたように商品開発にまで携わってもらっていると言うのかなかなかお見事。

ちなみにマスコミ出す広報文書は土屋専務が書くこともあるそうです😅

 

5に関してですが、街中で見かけるワークマンですが、ほとんどがフランチャイズ店だそうです。そして数店舗だけ直営店があり、そこで展示方法や販売方法のプランをたて、実践し、そしてよかった点などはフランチャイズ店に展開するのだとか。

なお6にも関わってくるのですが、ワークマンのフランチャイズ契約はコンビニの契約よりかなり良いそうです。しかしだからと言って誰もがフランチャイズ契約できるのではなく、以下のような条件があるそうです。

1)個人として契約が可能で店舗運営に専念できる方(副業は禁止)

2)ともに50歳未満で、専従者と1名で加盟できる方(原則は夫婦)

3)地元で生活し、高速道路を使わず通勤40分圏内の方(ワークマンプラスは30分圏内) 

4)健康状態が良好な方(健康診断書の提出が必要)

なお当然、親がワークマンをやっており、その親が歳いくとだんだん息子に店をなんて話になりますが、その2代目が「親父がやっているから、俺もやりたいんだよねー」なんて軽い気持ちだったら断るとのこと。

2代目として任せるのは、小さい頃から親の仕事を見て手伝いをしてきた子が多いそうです。

 

最後に土屋氏が提言される小売りが成長するための3つの提言が挙げられています

  1. 同質経営(Me Too)でない独自のポジションを押さえる
  2. 時代の変化を先取りする
  3. 愚直に方針を徹底する

 

一度は読んでおきたい1冊でした。